創業準備ガイド

創業期のマーケティングでは、完璧な方法を探すよりも、小さく試し、反応を見て、続けることが大切です。どの方法が効くかは、業種、地域、顧客、価格帯によって変わります。

このページでは、創業前から始められる集客行動を整理し、最初の30日で実行するマーケティング計画を作ります。

このページでわかること

  • 創業前からマーケティングを始める理由
  • SNS・Web・チラシなど集客方法の使い分け
  • 顧客の声やストーリーを発信に生かす方法
  • 最初の30日で実行する集客行動の決め方

マーケティングは売る方法を考えて実践すること

マーケティングは、難しい理論を覚えることではありません。創業者にとってのマーケティングは、「誰に、何を、どのように知ってもらい、どう購入してもらうか」を考えて実行することです。

「経営戦略」で整理した「誰に、なぜ選ばれるか」は、マーケティングの出発点になります。選ばれる理由が決まっていても、見込み客に届かなければ売上にはつながりません。

創業前からできる主な方法には、次のようなものがあります。

方法向いている場面目的
人的ネットワークへの案内既存の知人、取引先、地域のつながりがある最初の相談、紹介、モニター獲得
SNSでの情報発信継続的に準備状況や考えを伝えられる認知、信頼、ファンづくり
業界サイト・口コミサイト登録店舗、教室、士業、サービス業など比較検討時の接点を増やす
ホームページ・ブログ検索されるテーマがある信頼形成、SEO、詳しい説明
LP特定の商品やキャンペーンを売りたい申込、予約、問い合わせ
チラシ・ポスティング地域密着、実店舗、訪問型サービス商圏内への認知
展示会・イベント体験、試食、実演、相談が効果的見込み客との接点づくり
プレスリリース新規性や地域性があるメディア掲載、信用づくり

最初からすべてを完璧に行う必要はありません。ターゲット顧客がどこで情報を得ているかを考え、優先順位を決めます。

SNS、SEO、広告、チラシなどの方法は、創業計画書の項目名そのものではありません。ここでは、販売戦略を具体化するための選択肢として扱います。実施するときは、各媒体の仕様、広告審査、業種ごとの表示ルール、個人情報の扱いを最新情報で確認します。

創業前からSNSで発信する

SNSは、創業前から育てられる集客資産です。

まだ店舗やサービスが完成していなくても、準備の過程、商品へのこだわり、試作品、学んだこと、地域への想いを発信できます。継続して発信することで、開業前から知ってくれる人や応援してくれる人が増える可能性があります。

SNSで発信する内容は、売り込みだけにしないことが大切です。

発信テーマ内容例
準備の過程物件探し、試作品、仕入れ先探し、資格取得、開業準備
専門性選び方、使い方、よくある失敗、業界の基礎知識
人柄創業の動機、仕事への考え方、日々の気づき
商品・サービス開発中の商品、提供予定メニュー、利用シーン
顧客の役に立つ情報悩みの解決、チェックリスト、比較のポイント
地域とのつながり地域イベント、近隣情報、商圏の人に役立つ話

発信は、最初から反応が少なくても続ける前提で考えます。反応が出た投稿、保存された投稿、問い合わせにつながった投稿を記録し、次の発信に生かします。

ホームページとSEOを早めに準備する

ホームページは、SNSでは伝えきれない情報を整理して置く場所です。

営業時間、場所、料金、予約方法、商品・サービスの詳しい説明、創業者の想い、よくある質問、顧客の声などをまとめておくと、見込み客が安心して問い合わせや購入に進みやすくなります。

SEOは、検索エンジンから見込み客に見つけてもらうための取り組みです。創業前でも、顧客が検索しそうな悩みや選び方について、記事の下書きを作っておくことができます。

準備するもの役割創業前にできること
ホームページ事業の基本情報を伝えるページ構成、プロフィール、料金、FAQを準備
ブログ記事検索される悩みに答える顧客の悩み別に記事案を作る
事例・声利用後のイメージを伝えるモニターや試作品の感想を集める
よくある質問不安を減らす料金、予約、納期、キャンセル、対象者を整理
問い合わせ導線申込や相談につなげるフォーム、電話、LINE、予約ページを決める

ホームページは作って終わりではありません。検索される記事、SNSからのリンク、チラシからのQRコード、口コミ後の確認先として使えるように整えます。

LP、Web広告、SNS広告を使い分ける

LPは、特定の商品やサービスに絞って、予約、申込、購入などの行動を促すページです。通常のホームページが事業全体を説明する場所だとすれば、LPは1つの目的に集中したページです。

Web広告やSNS広告は、見込み客に早く届けたいときに使える方法です。ただし、広告費をかければ必ず売れるわけではありません。誰に、何を、どんな言葉で届けるかが曖昧なまま広告を出すと、費用だけが先に出ていきます。

方法使いどころ注意点
ホームページ事業全体を説明する情報が古くならないよう更新する
ブログ・SEO記事悩みや選び方で検索されたい読者の疑問に具体的に答える
LP特定の商品、キャンペーン、予約受付1ページ1目的に絞る
Web広告検索やWeb上で早く見つけてもらう広告費と申込数を記録する
SNS広告興味関心や地域に合わせて届ける投稿内容やLPとの一貫性を見る

創業初期は、広告を大きく始めるよりも、小さく試して数字を見るほうが安全です。表示数、クリック数、問い合わせ数、申込数、成約数を記録して、続けるか見直すかを判断します。

チラシやポスティングで地域に知らせる

実店舗や地域密着型のサービスでは、チラシやポスティングも有効な選択肢になります。

特に、店舗オープン、体験会、相談会、地域限定キャンペーンなどは、近隣の人に直接知らせる意味があります。チラシは、見た瞬間に「自分に関係がある」と思ってもらえることが重要です。

チラシで伝えること内容例
誰向けか子育て世帯向け、近隣の高齢者向け、仕事帰りの人向け
何ができるか予約、体験、相談、購入、来店特典
何が違うか専門性、地域性、こだわり、営業時間、提供方法
次の行動電話、Web予約、LINE登録、来店、QRコード読み取り
信頼材料店主の顔、経歴、実績、モニターの声、地図

チラシはデザインだけでなく、配る場所、配る時期、配る相手、反応の取り方まで考えます。QRコードや専用クーポンを入れると、どのチラシから反応があったかを確認しやすくなります。

顧客の声を集めて発信する

見込み客は、商品やサービスの説明だけでは不安を感じることがあります。その不安を減らす材料になるのが、顧客の声です。

創業前でも、モニター、試作品、無料相談、プレオープン、知人へのテスト提供などを通じて、感想を集めることができます。

顧客の声を集めるときは、単に「良かったです」だけでなく、利用前の悩み、選んだ理由、利用後の変化を聞きます。

聞くこと使い道
利用前に困っていたこと顧客の悩みとして発信に使う
申し込む前に不安だったことFAQやLPの改善に使う
選んだ理由セールスポイントの確認に使う
利用後に変わったことベネフィットとして伝える
他の人にすすめるなら何と言うか見出しや紹介文の材料にする

顧客の声を公開する場合は、掲載許可、名前の出し方、写真の使用可否を確認します。個人情報や機微な内容は、本人が特定されないよう注意します。

商品・サービスのストーリーを伝える

顧客は、機能や価格だけで商品を選ぶわけではありません。なぜその商品を作ったのか、どんな問題意識があるのか、どんな工夫をしているのかも、選ぶ理由になります。

ストーリーは、作り手の想いを一方的に語るだけでは弱くなります。顧客の悩みや期待とつながっていることが大切です。

ストーリーの材料書くこと
原体験なぜこの事業を始めようと思ったのか
顧客の課題どんな困りごとを見てきたのか
開発の工夫商品やサービスでこだわったこと
失敗と改善試作、モニター、改善の過程
目指す変化顧客にどうなってほしいのか

ストーリーは、ホームページ、SNS、チラシ、店頭POP、営業資料、創業計画書の自由記述欄などに使えます。

マーケティングは数字で見直す

マーケティングは、やって終わりではありません。実行したことと反応を記録し、次の行動を決めます。

記録する数字は、最初は簡単でかまいません。

方法記録する数字
SNS投稿数、反応数、保存数、問い合わせ数
ホームページアクセス数、よく見られたページ、問い合わせ数
ブログ記事掲載本数、検索流入、読まれた記事
チラシ配布枚数、QR読み取り数、来店数、問い合わせ数
イベント接触人数、名刺交換数、体験申込数、購入数
紹介紹介元、相談件数、成約件数

数字を見る目的は、失敗を責めることではありません。何を続けるか、何をやめるか、どこを直すかを判断するためです。

創業計画書に転記できる形にする

マーケティングで整理した内容は、創業計画書の販売戦略や取引先・取引関係等に使えます。

マーケティングで整理する内容創業計画書につながる項目
ターゲット顧客への届け方販売戦略
SNSやホームページの活用販売戦略
チラシ、イベント、紹介の計画販売戦略
顧客の声やモニター結果セールスポイント、自由記述欄
商品ストーリー創業の動機、自由記述欄
反応を見直す数字事業の見通し、販売計画

創業計画書には、ただ「SNSで集客します」と書くよりも、「誰に、どの媒体で、どの頻度で、何を発信し、どの数字を見るか」まで書くと具体性が増します。

よくあるつまずき

マーケティングでよくあるつまずきは、方法から考えてしまうことです。

「Instagramをやる」「広告を出す」「チラシを配る」と決める前に、まず誰に届けたいのかを確認します。ターゲットがSNSで探す人なのか、近隣でチラシを見る人なのか、検索して比較する人なのかによって、優先する方法は変わります。

もう1つのつまずきは、発信が続かないことです。発信は気合いではなく、仕組みにします。曜日ごとのテーマ、投稿メモ、写真を撮るタイミング、顧客の質問を記録する場所を決めておくと続けやすくなります。

次は収益の仕組みに落とし込む

マーケティングで「どう知ってもらい、どう購入してもらうか」が見えてきたら、次はビジネスモデルを整理します。

次の「ビジネスモデル」では、これまで考えたアイデア、理念、戦略、マーケティングをもとに、「誰に」「何を」「どのように」提供し、どのように利益を生むのかを一枚にまとめます。

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