創業準備ガイド

ビジネスモデルを考える目的は、アイデアを収益の仕組みに変えることです。「アイデアの整理」から「マーケティング」までで整理した創業アイデア、経営理念、経営戦略、マーケティングをつなげ、創業計画書に書ける形へ整えます。

このページでは、「誰に」「何を」「どのように」を軸に、価格、セールスポイント、販売戦略、競合・市場環境、固定収入化の可能性を整理します。

このページでわかること

  • ビジネスモデル全体の整合性を見る視点
  • 誰に・何を・どのように提供するかの整理方法
  • 価格・販売戦略・競合環境を合わせて確認する方法
  • 固定収入化や創業計画書へのまとめ方

ビジネスモデルは事業全体の整合性を見る

ビジネスモデルは、単に「何を売るか」だけではありません。

顧客、商品・サービス、価格、販売方法、競合環境、コスト、収益の流れがつながっているかを確認します。どこか一部だけが良くても、全体の整合性が弱いと、売上や利益につながりにくくなります。

整理すること確認する問い
誰にメインターゲットは誰か
何をどんな商品・サービスを提供するか
どんな価値を顧客はどんな便益や満足を得るか
いくらで価格はターゲットと提供価値に合っているか
どのようにどのチャネルで販売・集客するか
どう利益を出すか売上、原価、経費、利益の流れは成り立つか
競合とどう違うか市場環境を踏まえて差別化できているか

このページでは、まず事業の形を粗くまとめます。具体的な必要資金や収支は、「資金計画」「収支計画」で詳しく整理します。

ビジネスモデルの整理は、創業計画書の空欄をそのまま埋める作業ではありません。ここでは、取扱商品・サービス、販売戦略、事業の見通しへ転記しやすいように、事業全体のつながりを先に確認します。

誰に提供するかを決める

ビジネスモデルの最初は、誰に提供するかを決めることです。

ターゲットが広すぎると、商品、価格、発信、販売方法がぼやけます。「経営戦略」で整理した「最初に選ばれたい顧客」を使い、メインターゲットを具体化します。

確認すること書く内容
メインターゲット最初に選ばれたい顧客
属性年齢、職業、地域、世帯、生活スタイルなど
悩み今困っていること、不満、不安
ニーズ本当に得たい目的
ウォンツ欲しい手段、買い方、利用方法
購入タイミングいつ、どんな状況で買うか

メインターゲットは、「30代女性」のような属性だけで終わらせず、「平日の朝食準備に時間をかけられない共働き世帯」のように、生活場面や悩みまで入れると具体的になります。

何を提供するかを決める

次に、提供する商品・サービスを整理します。

ここでは、商品名やメニュー名だけでなく、顧客が得られる価値まで考えます。顧客は商品そのものだけでなく、その先にある安心、便利さ、楽しさ、時間短縮、成長、失敗しない感覚を求めています。

整理すること書く内容
取扱商品・サービス具体的な商品、メニュー、サービス内容
提供形態店舗、オンライン、訪問、定期便、予約制、イベント
顧客が得る価値便利、安心、健康、学び、楽しさ、時間の余裕など
利用後の変化顧客の状態がどう変わるか
他との違い競合と比べて何が違うか

たとえば「パンを販売する」だけでは、事業の特徴は伝わりにくくなります。「忙しい共働き世帯に、予約できる朝食パンセットを提供し、平日の朝に余裕を届ける」と言えると、誰に何を届けるのかが見えます。

価格とセールスポイントを整える

価格は、原価に利益を乗せるだけで決めるものではありません。

ターゲットが払える金額、競合の価格帯、提供価値、販売方法、必要な利益を合わせて考えます。価格が低すぎると売れても利益が残らず、価格が高すぎると顧客に選ばれる理由を強く説明する必要があります。

確認すること見るポイント
顧客との相性ターゲットが納得して払える価格か
提供価値との相性顧客が得る価値に対して高すぎないか、安すぎないか
競合との関係競合より高い理由、安い理由を説明できるか
原価・経費との関係売上から原価や経費を引いて利益が残るか
販売方法との関係店舗、通販、訪問、定期便などのコストを含めているか

セールスポイントは、価格を納得してもらうための材料にもなります。「経営戦略」で整理した強みを、顧客から見た良さに言い換えて使います。

どのように販売・集客するかを決める

ビジネスモデルでは、販売方法と集客方法もセットで考えます。

商品・サービスが良くても、顧客が購入できる場所や導線がわかりにくければ売上につながりません。「マーケティング」で整理した施策を、実際の販売方法に落とし込みます。

整理すること
販売場所店舗、Webサイト、EC、予約サイト、委託販売、イベント
申込方法電話、フォーム、LINE、店頭、SNS、予約システム
集客方法SNS、SEO、チラシ、紹介、イベント、広告、口コミ
購入までの流れ知る、比較する、問い合わせる、体験する、購入する
リピート方法定期便、会員制度、次回予約、フォロー連絡、ニュース配信

販売・集客の設計では、顧客が「知ってから買うまで」に迷う点を減らします。料金、内容、対象者、予約方法、キャンセル条件、利用後の流れを明確にするほど、購入のハードルは下がります。

競合・市場環境との整合性を確認する

ビジネスモデルは、自社の中だけで完結しません。競合先や商圏、市場の状況を踏まえて考える必要があります。

「経営戦略」で調べた競合比較やポジショニングを使い、自社の商品・サービスがどこで違いを出せるかを確認します。

確認すること見るポイント
競合先の数同じ商圏や同じ顧客を狙う競合がどれくらいあるか
競合の強み価格、立地、知名度、品ぞろえ、専門性、口コミ
競合の弱み不便、説明不足、予約しにくい、顧客層が偏っている
市場の動き顧客数、地域の人口、需要の増減、季節性
自社の立ち位置競合と違う価値を出せるか

競合が多いこと自体が悪いわけではありません。需要がある市場とも言えます。ただし、競合と同じ商品、同じ価格、同じ見せ方では、価格で比較されやすくなります。

ビジネスモデルの解像度を高める7つの要素

「誰に・何を・どのように」まで整理できたら、さらにビジネスモデルの解像度を上げます。

要素考えること
価値の提供顧客が商品・サービスを通じて得る便益は何か
収益モデル商品販売、月額、ライセンス、広告、手数料など、どう利益を生むか
コスト構造原材料費、人件費、家賃、広告費、システム費など何に費用がかかるか
収益の流れ都度払い、前払い、月額請求、掛売、回数券など、どう入金されるか
チャネル店舗、オンライン、委託先、紹介先など、どう届けるか
顧客との関係構築新規顧客を固定客にするために何をするか
リソースとパートナー人材、設備、資金、情報、協力企業など何が必要か

この7つは、すべて最初から完璧に決める必要はありません。ただし、空欄が多いところは、創業前に追加で調べるべき場所です。

固定収入ビジネスを検討する

固定収入ビジネスは、毎月または定期的に売上が見込める仕組みです。

固定収入の仕組みを作るには準備が必要ですが、事業の安定化に役立つ場合があります。「自分の業種では無理」と決めつけず、定額制、コミュニティ、レンタル、保守、定期点検、会員制などの形にできないかを考えます。

切り口内容
定額制月単位で商品やサービスを提供する定期便、月額相談、会員限定コンテンツ
コミュニティ化顧客を集めて継続的な関係を作る教室、勉強会、会員イベント
レンタル化売り切りではなく貸し出す機材、衣装、道具、スペース
保守・メンテナンス購入後の継続支援を提供する定期点検、更新作業、サポート契約
回数券・前払い先に利用権を購入してもらう施術回数券、講座チケット、相談パック

固定収入化を考えるときは、顧客にとって継続する理由があるかを確認します。事業者にとって都合が良いだけでは、顧客は続けてくれません。

定額制、回数券、前払い、レンタル、保守契約などは、業種や提供方法によって契約条件、返金条件、決済方法、利用規約の確認が必要になることがあります。実際に導入する前に、専門家や相談窓口へ確認します。

メインターゲットと価格・販売戦略が合っているか確認する

ビジネスモデルでは、要素同士の相性が重要です。

特に確認したいのは、メインターゲットに対して、価格、販売戦略、商品・サービス、競合環境が合っているかです。

確認項目見直す問い
ターゲットと価格その顧客は、その価格を納得して払えるか
ターゲットと販売戦略その顧客に届く媒体や場所を選んでいるか
商品と競合環境競合と比べて違いが伝わる商品になっているか
価格とセールスポイント高い理由、安い理由、選ぶ理由が説明できるか
集客と提供体制問い合わせが増えても対応できるか
収益とコスト売れても赤字になる構造になっていないか

ここで矛盾が見つかることは悪いことではありません。創業前に見つけられれば、価格、ターゲット、商品内容、販売方法を調整できます。

創業計画書に書ける文章へまとめる

ビジネスモデルで整理した内容は、創業計画書の「取扱商品・サービス」などに使えます。

創業計画書に書くときは、長い説明よりも、相手が事業の形をすぐに理解できることが大切です。

ビジネスモデルで整理する内容創業計画書につながる項目
メインターゲット取扱商品・サービス、取引先・取引関係等
商品・サービスの内容取扱商品・サービス
価格取扱商品・サービス、事業の見通し
セールスポイント取扱商品・サービス、自由記述欄
販売戦略取引先・取引関係等、販売戦略
競合・市場環境自由記述欄、事業の見通し
固定収入の仕組み取扱商品・サービス、事業の見通し

まずは、「誰に、何を、どのように提供し、どこで利益を生むか」を1段落で説明できる状態を目指します。

よくあるつまずき

ビジネスモデルでよくあるつまずきは、商品だけを詳しく考えて、売り方や利益の出方が後回しになることです。

商品が魅力的でも、価格が合わない、購入導線がわかりにくい、原価や人件費が高すぎる、リピートの仕組みがない場合、事業として続けるのは難しくなります。

もう1つのつまずきは、顧客にとっての価値を言語化できていないことです。「何を売るか」だけでなく、「顧客がどう良くなるか」を書くことで、価格、販売戦略、セールスポイントがつながります。

次は必要な人材と役割を考える

ビジネスモデルが見えてくると、自分一人で始められるのか、誰かの協力が必要なのかも見えやすくなります。

次のページでは、創業時のチームづくり、採用の考え方、最初のスタッフとの関係づくりを整理します。人を雇わない場合でも、外部パートナーや協力者を考える材料になります。

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